映山紅えいさんこう書店

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静かなる『OAごはん』を求めて


前書き

ひょんなことから表紙の画像だけを見つけていた「OA化時代の食生活」(1985年)。ファンシーでシンプルでミニマムな、まさにファンシーでシンプルでミニマムなパロアルトの研究所もびっくりのアイコンが並んでいる。「ファンシーでシンプルでミニマムな線画のアイコン」と日本語で指示して生成したのが上掲の画像である。アイコンは11個なので円環状に並べると「上」と「下」ができるが、そういう銀盆があるので問題ない。

この年代(昭和60年)の風潮として「ハンバーガーはケシカラン」「電子レンジはケシカラン」「ハウス栽培はケシカラン」といったものがあったのは記憶に新しいところである。本書を実際に手に取ることなく古書店のサイトにあった表紙の画像だけを見る限りにおいて、そこに並んでいるアイコンの正確な意味を知るのはなかなかに難しい。

  1. 「牛」のアイコンが「牛肉」を意味しているはずがないという前提で「乳製品」というカテゴリーを表わしているものと考えることができる(牛乳は学校給食でチーズは子どものおやつという感覚から大人の摂取は少なかった)
  2. 「エビ」のアイコンこそが肉より魚介類を摂りましょうという意味のはずである(電子レンジではなくオーブントースターで調理する冷凍食品に「エビ」は多用されていた)
  3. 「リンゴ」はお弁当に毎日でも入れようかというほど安かった(現在は約3倍に値上がり)
  4. 「ナス」は安かったがレシピが少なかった(まだ麻婆ナスが広まっていなかったほかミートソースにもなっていなかった)
  5. 「大根」のアイコンはカテゴリーではなく「旬」や「露地栽培」を指している可能性がある(大都市近郊で多く栽培されており都会の人間でも目にすることができた)
  6. 「魚」のアイコンは「青魚」特に大きさと形から「さば」を指すものと断定した(食生活を考えさせるという文脈上、ぜいたくな赤身という線はない)
  7. これは何だろうというアイコンは「えんどう豆」だった(「こつぶっこ」にグリンピースが入っていたほど安かった)
  8. 「トマト」だけで「サラダ」と呼んでも許されていた(「赤い緑黄色野菜です」とCMで言い出したのは1990年代)
  9. OAといえば松茸ではあるが椎茸ともマッシュルームともつかない「キノコ」のアイコン(エリンギは1990年代後半から)
  10. 「稲穂」のアイコンはコメに限定せず主食の穀物とおかずをバランスよく摂りましょうという意味だと思うことにした(パンや麺を否定する文脈ではない)
  11. 消去法で「ニンジン」のアイコンこそが苦くても緑黄色野菜を摂りましょうという意味だと断定した(ほうれん草も含め色の濃い野菜は例外なく苦かった)

「OA化時代の食生活」には「静かなる労働と栄養」という副題がある。『電気メロン仕事唄』を挙げるまでもなく「労働」には「危険」がともない、したがって「かけ声」が必要で「仕事唄」も発達するものだという観念があったが、「OA」とは無言で画面に向かうものなのであった。無言であるということの精神衛生上の云々はさておくとしても、実際問題として消費カロリーが著しく低いのである。「ケシカラン」と言われなくても「ハンバーガー」を食べようなどとはとても思えない。

いわゆる炎の料理人というイメージとともにナスを油で炒めるレシピが最初に中華から広まったのは、油を多く使い短時間の強火調理で変色する間もないということが大きく、ミートソースに入れるのはテフロン加工のフライパンが普及してからである。ホーロー鍋を使いこなすのは、例えばバターと小麦粉でルウを作ったり「ニンジンのバター煮」なるものを無言でつくるような上級者に限られた。

トマトをトマトとして食べる機会は減り、王子さまのはちみつリンゴとトマトを「ミニトマト」で兼ねる、本場の(本場でも普及品の)紙パックのあらごしトマトが直輸入されるといった形になっている。減塩のレシピと相性がよく消費自体は増えているはずである。エビ、グリンピース、うずらの卵といったトッピングは、1個ではわびしいが3個も5個もあったところで嬉しいというものでもない実に悩ましいものである。いまグリンピースとは、どうしてもグリンピースでなければいけない伝統のレシピのようなものでしか使われず、インゲンや枝豆に取って代わられている。最近まで粘っていた「ミックスベジタブル」ですら『ミニブロッコリー』という変なものに置き換わっているのには開いた口が塞がらない。

現在の大根や白菜ひいてはサツマイモにあっては、季節ごとに別の品種を栽培しているのであって、どの季節にも、その季節においてベストが尽くされた『旬』の野菜が供給されている。かつての考えにとらわれ「夏の大根」を味わわないのはもったいない。いわゆる伊勢海老と桜海老の類を除く一般の「エビ」は冷凍での輸入であり、輸入が減っているわけではないようなのに「エビ」を家庭で調理するハードルは妙に高くなっている。日本ハムの特許技術で「エビ」をハムのように加工して冷蔵で日持ちさせるものがある。OAとともに生活環境が無味無臭になる中で「エビ」の調理をわざわざしようとはなかなか思われないものである。

(※この検索は2026年9月13日に行ないました)

このサイトに掲載の短辺768ピクセルの画像はすべてAIで生成したものです

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